3月11日、3歳の子をウサギ用のケージに監禁し、うるさいからとタオルで口をふさいで死なせてしまった両親に実刑判決が出ました。玲空斗くんが心とからだに受けた想像を絶する苦痛を思うと、胸が詰まります。もちろんその罪は重く、刑に服するにとどまらず生涯をかけて償われるべきものと思います。
 ただ、このニュース報道で「言うことを聞かないという身勝手な理由で犯行に及んだ」との裁判長の言葉を伝えるアナウンサーの声には、やりきれない思いがわきあがりました。12日の朝日新聞には、被害児に知的な発達の遅れがあり、食べ物をまき散らすなどの問題行動があったとの記述もあります。
 だからといって子どもを虐待してよいことにはならないのは言うまでもありません。両親がした「行為」は、もちろん許されません。でも・・・ そこに至るまでにどんな経緯があったのか、3年間ご両親の心の底に流れていた「気持ち」のありようが報道されないことに怒りと悲しみを覚えます。

 今子育てをしている方々がこの報道に接してどう感じているのか、心配でなりません。「やりはしないけど、気持ちは分かる気がする」「それに近いことは、してしまったことがある」といった切実な叫びを「身勝手」と断じてしまったら、親は追い詰められるばかりです。
 裁判長の「行政機関に相談するなどの手段を尽くすべきだった。被害者に真に愛情を持って接していたとは評価できない」との判断は、法律的には正論でしょう。ただ、「他の親は皆ちゃんとやっているのに、うまく育てられない私は最低」と思っている人が、そんな自分をさらけ出して相談するのはとても勇気がいることです。相談しても、限界にきているつらい気持ちを受け止めてもらえず、「もっと努力することを求められただけ」というケースも少なくありません。「身勝手」と怒られるだけと思ったら、相談する気持ちにはなれないでしょう。

「言うことを聞かない」という相談はとても多く、「せっかく用意した食事をこれ見よがしに投げるので、食事のたびに戦争」というお話も本当によく伺います。そしてそのほとんどが、「親はいつも笑顔でおだやかに接するべきなのに、イライラして怒ってばかりの自分」を責め、いっそうつらくなって「言うことを聞かない子」に攻撃的になってしまう悪循環にはまっています。そういう人を、「子どもがかわいそう」という思いで責めたり指導したりすれば、悪循環がエスカレートするばかりです。

つらい子を救うためには、つらい親を救わなければなりません。
子どもとうまくかかわれない親を責めないで、つらい気持ちに寄り添い、ただ一生懸命に聴ける人が街中にたくさんいて、つらい人がいつでもどこでもよい支援者と出会える、そんな社会を創りたい。
それが、私の願いです。

2016.3.12