近くを流れる川に沿った遊歩道を歩きながら、「ススキがきれいな季節になったな~」と思いました。
この季節に、よく思い出す出来事がります。

小さなわが家の小さな庭。
私は小学校高学年か中学生くらいだったと思います。
夕日を背景にして輝くススキが風に揺れ、
「きれいねぇ・・・」と言ったきり言葉もない母・・・
私は、こんな至福の時間を母と共有できる喜びにひたっていました。

事件が起きたのは、その翌日のこと。
父が、庭の「雑草」を刈り取ったのです。
「きれいになっただろ~」と汗を拭く父にもちろん悪気はなく、「きれいにしてあげた」のだから感謝されこそすれ文句を言われる筋合いはありません。
父の目にはススキは雑草でしかなく、雑草がなくなった庭を「きれい」と感じるのは至極当然のことなのです。

わが家ではこの手の「事件」がたびたび起こりました。
母が大事にしていた古い家具(親が持たせてくれた嫁入り道具)を、父がペイントで「きれいに」塗ってくれた時には、ショックのあまり声も出ない母でした。

父は、日曜大工や機械いじり、ものづくりが好きで、いつもまめまめしく何かをしていました。
「ここにこういうものがあったら便利だな」と思いつくと即製作にとりかかり、「アレが汚い。きれいにしよう」と思い立つと、すぐに行動してしまうのです。

武骨な田舎者でしたがとても優しく、末っ子の私をかわいがってくれましたし、そんな父を私は嫌いではありませんでした。
もちろん、繊細で美しいものを愛し、おっとりした母も大好きでした。

ただ、両親にとってはストレスフルな日常だったに違いありません。
双方が親の意思でお見合いをして、仲人さんのうまい話に「だまされて」結婚したという話を、私は父と母それぞれから何度も聞いていました。
父も母もいい人で、すてきな人なのに、ただ「相性」が悪かった・・・

いろいろありながらも無事に添い遂げて、天に昇った父と母。
今頃どうしているかしら・・・
ススキとコスモスを花瓶にさして、
「子どもも、結構がんばったんだよ」と、つぶやいてみました。

2016.10.10