「投げちゃダメ」と言わないで ~投げてもいいもので投げっこを楽しもう!~

少し前の話になりますが、テレビ番組で小学生の投力向上を目指す取り組みを特集していました。


全国体力テストの「ソフトボール投げ」で最下位が続いている県が、専門家のアドバイスを受けながら始めた取り組みとのことですが、主催者側の思いとは裏腹に、参加している子どもたちは浮かない表情。
「ボール投げは好き?」とマイクを向けるアナウンサーに、「きらい。へただから」と答える女の子に、つい同情してしまいました。

研究者は、子どもの投力が落ちている原因としてボール投げを禁止する公園が増え、気軽にキャッチボールをする機会が減ったことなどをあげていました。
それもあるかもしれませんが、私はもっと前、子どもが純粋に「投げる」という行為に興味を持つ2歳前後の大人のかかわりが大事なのではないかと感じました。
「へただから、やりたくない」といった感情が出てくる前に、「投げるのは楽しい」という経験をいっぱいさせてあげてほしい。

3歳までの親子が集う子育てひろばでは、「投げちゃダメ」というママの声を聞かない日はありません。
ハイハイができるようになった子がさかんにハイハイするように
一人歩きができるようになった子が歩きたがって、危ない場所で抱き上げると「おろせ~!」とばかりそっくり返って怒ったように
投げるというスキルを獲得した子は投げるのがおもしろくてたまらない。
「どうして投げるの!」「何べん言ったらわかるの!」と叫んでも、子どもの発達のエネルギーは止められません。

先日も、「投げちゃダメ」と繰り返すママを前に、木製のパズルを何度もひっくり返して、うれしそうにピースを投げる2歳児に遭遇しました。
もちろん他の子もたくさんいるひろばの中で木製のおもちゃを投げるのは危険です。
その行為は止めざるを得ませんが、投げるのが楽しいというその気持ちは大事にしたいと思いました。
近くに小ぶりのタオルがあったので、それを折って軽く縛り、ボール状にしたものを作って、その子に見せました。
「ボール作っちゃった。これなら投げていいよ。これで遊ぼうか?」と言ってタオルのボールを投げると、上手にキャッチ。投げ返してもらったところで「パズルはここにしまってくれる?」と声をかけると、すんなりパズルを片づけてボール遊びになりました。
ママと交代した後も、とても楽しそうに投げっこが続き、ママも楽しそうでした。

はじめに書いたテレビの特集番組は、投げやすい形のボールで投げ方のコツを教えてもらうとボールが飛ぶようになり、「きらい」と言っていた小学生が口々に「楽しい」とはしゃぐ映像で終わっていました。

子どもの意欲を伸ばす工夫を、考えていきたいですね!

2017.7.25