成長する勉強会の条件

6月18日、東京都社会福祉協議会保育部会主催の研修会で講師を務めました。
都内の各保育園から、給食担当者(主に栄養士さん)350人ものご参加があり、大変熱心な勉強会で圧倒されました。

保育部会常任委員の佐々木妙子さんのお話によると、この研修の起源は25年も前に「保育の現場の問題を共有しよう」と少数の栄養士さんが集まって始めた勉強会だったそうです。様々な問題を持ち寄って検討しあうなかで次第に仲間が増え、多彩な経験が蓄積されていった時期を越えると、ベテランの参加意欲にかげりが出始め、継続が危ぶまれる時期もあったとのこと。それでも、一度途絶えてしまったら再開できなくなるとの思いから、少数になっても持ちこたえ継続してきた結果、現在の350名規模の研修会へと発展した・・・そんなお話しを、心打たれる思いで伺いました。

同職の仲間が集っての勉強会で、新しい参加者が増えることは、もちろん喜ばしいことに違いないのですが、草創期をともに作りあげたという強い意識の絆で結ばれたメンバーがどこか「つまらない」感じになるのは、分かるような気がします。新しい参加者は、現場で困ったことについて先輩からいろいろ教えてもらえて大助かりですが、苦労して情報を集め勉強に行き、知恵を出し合って問題と真っ向勝負をしてきたベテランにしてみれば、なんだか与えるばかりで得るものが少ない・・・労なく「もらうばかり」に見えてしまう若手になんとなく不満・・・そんな風に感じ始めるのは自然な成り行きのようにも思います。似たような状況が、きっとあちこちの組織で起こっているのでしょう。私にも、似た経験がある気がします。

後継を育てることは先を行くものの責務ですが、あとに続く人にも「もらう」ことを期待するだけでなく、新しい感性で「発信する」勇気をもってほしいと思います。私のような新参者が、未熟者が、と謙虚になりすぎないで、ぜひ自己表現をしてください。たとえ新米であっても、「新米だからこそ見えるもの」がきっとあります。それがベテランにとって思いがけない発見の機会になれば、どちらにも得るものの多い充実した活動になっていくはずです。

今回の研修会は、発足当初から関わって来られたベテランも、20代と思われる若手も、和気あいあいと会の運営を担っておられる様子がいかにも活力にあふれ、梅雨空を吹き飛ばすようなすがすがしさでした。

(2010年 6月20日)