「『子どもを頭ごなしに叱るのはよくない』とわかっていても、ついつい叱ってばかりになってしまう・・・」
とてもよく伺うご相談です。

「わかっているのに、どうしても止められない」とご自分を責めていらっしゃる方とお話ししていたときのこと。
「叱られ続けると、どういう子になりますか? おどおど人の顔色を見るような子になるとか、言葉を失うとか・・・そういう子を、先生は見ていますか?」
そんな質問があって、ハッとしました。

情報洪水に押し流されそうになりながら、必死で持ちこたえようとしているお母さん。
この時代の子育てがどれほどつらいものなのか、支援者向けの講座で何度も何度も伝えてきたことでしたけれど、それでも
「ああ、そうだった・・・その不安があるかぎり、自分にOKを出す作業は進まない」と
改めて気づきました。

確かに、虐待環境で育った子などにそうした表情が見られることはあるでしょう。
ネットなどで、そんなケースが紹介されていたりしますよね。
そこには「だから、そんなに叱っちゃダメ」というメッセージが込められていて、傷つく子どもを救いたいとの熱い思いから発信されたものかもしれません。

私は、思うのです。
「ゴムは、伸ばすと切れちゃうよ!」は、真実でしょう。
でもね、「そう簡単には切れない」 というのも真実です。

「ゴムは、伸ばすと切れる」という情報を出すとき、同時に「伸ばしても切れない範囲がある」ことも伝えないと。
伸びて、元に戻るのがゴムの特徴で、だからゴムとして機能するのに、「切れる」と脅かす情報だけ受け取ったら怖くて伸ばすことができなくなっちゃうかも。

子どもが安全に社会生活を営めるように、「したくてもできないことや、してはいけないことがある」と教えるのは、大人の責任です。子どもを叱ることは必要です。

それと・・・親も生身の人間ですから、いろいろな意味で自分に余裕がないと、叱らなくてもよいことまで叱ってしまったり、子どもの人格を丸ごと否定するようなひどい叱り方をしてしまったりすることも、あるかもしれません。

そういう叱り方はなるべくしないほうがよいのはもちろんだけれど、それでもそうなってしまうことはあると思います。
大事なのは、そのとき「しまった。しなければよかった」と思えることではないでしょうか?
しないほうがよいとわかっていれば、ブレーキがかかります。

後悔できる自分に、OKを出してください。
後悔は成長の栄養です。何度も何度も後悔しながら、成長すればいい。

そんな風に失敗する自分を許せる親は、きっと失敗する子どもを受容できる親になれます。
大丈夫。

子どもの人格を丸ごと否定するようなひどい叱り方をしてしまったとき、
「厳しいしつけは、子どものために必要。子どものことを思って、心を鬼にして叱っている」
そんな自分を正当化する言葉が出てくると、ブレーキがきかなくなるので危険です。

後悔する気持ちがつらすぎて、認めると自分が壊れてしまいそうな不安におびえているのかもしれません。
どうぞ誰かに相談してください。
あなたを責めないで、一生懸命聴いてくれる人が近くにいらっしゃいますか?
もし思い当たらなかったら、地域の子育て支援センターや役所の「子ども家庭支援課」といったところに電話してみましょう。
きっと、あなたを助けてくれる誰かとつながる方法を教えてくれます。

2013.11.1