4月から、シニア向けのピアノ教室に通い始めました。
ピアノが弾けたら、どんなに幸せだろう・・・
子どものころからずっとあこがれていました。

きっかけは、小学生のとき級友の誕生会に呼ばれたことです。
ピアノが置かれた広い部屋で、みなで踊りました。
掘っ建て小屋のような小さな家で、貧しくつましく暮らしていた私には衝撃的な体験でした。

今で言う「格差」を、肌で感じた瞬間だったのだと思います。
ピアノは、私のコンプレックスの象徴のような存在だった気がします。
ピアノがある家の子、ピアノを習える子に、嫉妬していました・・・たぶん

自分探しにアップアップした学生時代、仕事と家庭の間で揺れまくった子育て時代を通り過ぎたころから、
「はじめてでもOK! 大人のためのピアノ教室」といった広告が目につくようになりました。

まさか・・・本当にはじめてで、この年になって、できるわけがない・・・
気になりながら、無視した(ふりをした)数年を経て、ついに体験コースを申込み・・・

新聞で「羊と鋼の森」の書評を読んだのは、そんなタイミングでした。
読みたい! 一瞬の迷いもなくオンライン書店で注文して
その文章の美しさに魅せられました!

人けのない体育館で寡黙な調律師に出会い、
美しい音を創りだすその人の仕事に魅せられて、唐突に調律師を目指した青年
才能とか資質とか、そういう言葉におびえながら愚直に努力を積み重ねる日々
遠い目標、あこがれのその調律師からもらった「あきらめないことです」という言葉・・・

ピアノは、羊毛のハンマーで鋼の絃をたたいて音を創る楽器です。
著者はそれを「森」と表現しています。

この本が「本屋大賞」に選ばれたと今日のニュースで知りました。
本当にうれしく思います。


何ごとにも、扉が開くタイミングがあります。
支援活動をしていると、「力になりたいのに相手が乗ってこない」といった事態に遭遇することはよくあります。
まだ向き合う準備ができていない人にいくら働きかけても、相手はつらくなるばかりです。

相手を信じて寄り添い続ければ、「その時」はいつかやってきます。
あせるのは、自分が不安だから(こちらの都合)です。
「この人にとって、今はまだ『その時』ではないのだ」と自分に言い聞かせて、落ち着きましょう。

たすけようとしてくれていることは分かっているのに、たすけてほしいのに、受け入れられない自分を責めてつらい人も、そんな自分に「今はまだ、その時じゃないの。分かってね」と心の中でやさしく声をかけてみてください。

2016.4.13