イヤイヤ期のしつけを考える その1 ~ダメなことって、なんだろう~

「『ダメなものはダメ』と、毅然と叱りましょう」とよく言われます。

一見、明快な言葉です。基本的には正論だと思いますが、親がこの主張を真に受けて(?)そのようにしなければと思い、「ちゃんとしつけよう」と取り組み始めると・・・

数々の疑問や迷いが出てくることを多くの親御さんが経験しているのではないでしょうか?

まず、「ダメなもの」の中身がわかりません。

子どものどんな行動を毅然と叱ってやめさせなければならないのか、よくよく検討しないと子どもの成長発達に欠かせない重要な経験のチャンスを奪うことになるし、ダメなことが多いと叱る親も叱られる子もストレスがたまって、攻撃的になることも少なくありません。

なにより、せっかくの子育てが楽しくなくなってしまうのは、とても残念です。

車道に飛び出す、高い所でもみ合うなどは迷う余地なくダメですが、すべり台を下からのぼる、電気コードをコンセントにさしたがる・・・あたりになると人によって状況によって、判断が違いそうです。

興味を持ったことにチャレンジしたり、
自分の運動能力を試したり、
痛い目にあって危険を体得したり、
いろいろ実験して確かめたり、
失敗を繰り返しながら「できる自分」に出会って、自信のタネを手に入れたり・・・

「大人が『ダメ』と言いたくなること」の中には、「経験」「実感」「達成感」といった宝物を手に入れる材料がいっぱい混ざっています。
せっかくの「やる気の芽」を摘むことは、少ないほうがいいに決まっています。

自分で状況を見て判断する力をつけるには、トラブルを未然に防ぎすぎないほうがいいですし、電気コードは安全な扱い方を教えて親と一緒に何度も抜きさしをさせたほうが、むしろ危なくないかもしれません。

興味を持ったことを途中で「ダメ」と制止されると、「やりたい気持ち」「確かめたい気持ち」が残っているので繰り返ししつこくチャレンジします(その「やる気」に拍手! 将来が楽しみ!!)が、親がいるところで存分にさせてもらえるのなら隠れてする必要がないのでむしろ安全ですし、気がすむまでやりつくすと満足して、次のマイブームに移っていくことも多いものです。

大人にとって心配なことを「どうしたら、やめさせられるか」ではなく、「どうしたら、させてあげられるか」を考えてみてください。

2018.7.20 (昨年「ブランシュシュ」に投稿した記事を再掲)