リオ・オリンピック、見ていますか?
普段はあまりスポーツに関心がない私ですが、やはりオリンピックは格別。
この舞台を目標に並々ならぬ鍛錬を重ねてきた方々の努力が報われる瞬間に、胸が熱くなります。
小柄な体格をものともせず、筋力を鍛えバランス感覚を研ぎ澄まし、技を磨いて大きな外国の選手たちと対等に競い合う姿はすがすがしく、勝っても負けても「素晴らしい!」と感じます。
もちろん、そうして得た勝利の瞬間には、わがことのように飛び上がって歓声を上げる私がいます。
体操の内村選手は162cm 白井選手は163cm
卓球の水谷選手も小柄ですね。
小柄な科学者や文学者や実業家や芸術家・・・
小柄だって、素晴らしい人生がある。小柄だって何でもできる。
特別な人でなくても、幸せな生活を営んでいる小柄な人はいっぱいいるのに、
どうして多くの大人たちは、子どもに高身長を望んでしまうのでしょう??
先日、支援者向けの講座で乳幼児の身長体重のグラフの見方と発育値の考え方についてお話する機会がありました。
身長や体重の増えが悪い場合、病気や障害、貧困による低栄養や虐待、保護者の障害や知識不足などによる養育困難といった問題が見つかることもあるので、くわしい診察や聴き取りをする対象になります。
くわしく診て何も問題がないことが分かれば、「個性」として尊重することが何より大事。
もし病気が見つかればその治療を考えるのですし、養育が難しい状況なら福祉につないだり支援者が訪問したりするなど、問題に対処をする必要があるのですから、保護者に身長体重を増やすように促すのは無意味なことです。
「保育者や教師が小食や偏食、運動嫌いなどの改善のために身長を持ち出すのは、『身長は高いほうがいい(優れている)』という価値観を無意識に植え付けるので、適切ではありません。これを食べれば身長が伸びるという食品はないし、小柄で有能なスポーツマンはたくさんいるので、『~しないと大きくなれないよ』などのウソは言わないでください」と申し上げると、会場にどよめきが起こりました。
「背が高くなるように」という熱心な働きかけから、子どもは「小柄ではダメ」という裏メッセージを受け取ります。
言われたようにすれば大きくなるのならまだしも、身長は基本的には遺伝子レベルで決まっていて(だから一卵性双生児は食事の好みや生活環境がかなり違っても同じ身長になるわけで)、偏食しなくても運動しても背の低い大人になるかもしれないのですから、そうした言葉かけでコンプレックスの種をまかないでほしい。
それでは希望がなくなってしまう?
そんなことはありません。
親がわが子の身長を高くしたいのは、そのほうが幸せになれる(いじめられない、魅力的で好意を持たれる、仕事やスポーツに有利など)という漠然とした思い込みがあるからでしょう。
身長を高くする育て方はなくても、幸せになる力を高める育て方ならいくらでもあります。
小柄でも、障害があっても、自分が好きで、自分を信じる力があれば、だれでも自分の力で幸せをつかみ取ることができるのです。
「背が高い子」より「自己肯定感が高い子」に!!
2016.8.16