自分が知らなかった(知らないことにしていた)自分に気づき、受け入れる醍醐味

私は、歌が苦手です(でした)。

人前で歌うことは決してなかったし、お付き合いのカラオケでも、ノリノリで人の歌を称賛するのが私の役どころと決め、どうしても歌わなければならない状況になったときは「誰もがつい歌いたくなる曲」を選んで「ご一緒に!」と声をかけ、いろいろな人にマイクを向けて自分は口パクでした。

そんな私が、歌のレッスンを受けることになって半年。なんとソロで!

からだは「声」という音楽を奏でる楽器。そのメンテナンスとしての気功を中心としたボディワーク・・・
そんな言葉にひかれてワークショップに行き始めたのがきっかけでした。

そして先日、「秋のおさらい会」がありました。
同じ先生のもとで歌の練習をしている方々は、言うまでもなく私など足元にも及ばぬ素晴らしいソリスツばかり。そこに交じって、私が歌う! 人前で!!

先生は参加を勧めつつも「強制はしない」スタンスでした。
迷った末に、恐る恐る参加を決めました。
最後の練習日の帰りがけ、「風邪をひかないようにね」と言われ、「風邪ひきたい!」と思わず言っていた私・・・まさか、現実になるとは。

数日前から鼻がぐずぐずし始め、前日には咳も出てきて、当日は歌える状態ではなく・・・客席で拍手隊の一員となりました。

その帰り道、私の中に思いがけず「歌わなかったことを残念に思う気持ち」があることに気づきました。
ちょうど風邪をひいてよかったのでも、歌わないで済んでホッとしたのでもなく、ただただ残念に思いました。

「そうか、私、歌いたかったんだ」

驚きでした。
でも、なんだかうれしく、すがすがしく、ちょっとウキウキしてきました。

元々歌は好きで、だれもいない家の中ではよく歌っていました。
ただ「ヘタなので」、人がいたら決して歌わないことにしていました。
レッスンを始めて、先生がどんな言葉で認めてくれても、私は受け取ることができませんでした。
「とてもいい声」「音程はしっかりとれている、全く外れていない」「これでヘタとは言わせない」とまで言ってくださったのに。

以前ご紹介した「自分を好きになる本」(パット・パルマー 径書房)にこんな一文があります。

キライだった色を好きになってもいい。好きだったゲームがキライになったっていい。映画だって、食べ物だって、お話だって、キライだったものが好きになることもあるし、好きだったものがキライになることもある。 

キライだった自分を、大好きになってもいいよ。
いつでも考えを変えていい。
あなた自身を、変えていい。

変わりたいと思いさえすれば、人はいつからだって変われる。素敵ですね。

2018.10.29