思いがけずスクールカウンセラーという肩書の仕事を始めて4ヶ月が経ちました。
いろいろな出来事がありましたが、最近のビッグニュースは「箱庭」です。
紆余曲折の末、本校で箱庭という素敵なセラピーを体験してもらえることになったのです。
砂箱は手作りして、中に置くアイテムは基本的なものだけ購入。
あとは、身近なものをかき集めてやりくりする計画が進行中ですが、これがムチャクチャ楽しい!
何を見ても「これ、使えそう!」って思えて、それが箱庭に置かれる情景が目に浮かび、ワクワクします。
では、「箱庭って何さ?」というお話。
私たちが知っている自分は、自分の中のほんの一部で、大部分は「無意識」の部屋にしまわれています。
かつて体験したイヤだったこと、傷つき、悲しみ、苦悩、そして怒り・・・そういった諸々の気持ちを無意識の部屋に押し込め、私たちはつらい現実をやり過ごしたり、乗り越えて立ち直ったりしてきました。
でも、その気持ちはなくなったわけではなくて、ちょっとしたことをきっかけにしゃしゃり出て来るのです。
無性に腹が立って、攻撃が止まらなくなったり、頭ではやめようと思うことが、何度決意してもやめられなかったり
わけも分からず苦手な同僚にストレスをためたり、柔軟に考えればいいと思っても窮屈な「べき論」に固執したり
そんな経験はだれにでもあるはず。
自分の気持ちが自分でうまくコントロールできないと感じるとき、それは無意識の部屋に閉じ込められた気持ちが「私はここにいるよ。無視しないで!」と自己主張しているとき。
「無意識」の部屋にある気持ちはコントロールできないけれど、それを「意識」のほうへ持ってくればうまくお付き合いできます。
その作業を手伝ってくれるのが、いわゆる心理療法なのだと思います。
無意識の部屋の扉を開けるのは、ちょっと勇気がいりますよね。
だって、無いことにして、忘れたことにして、見ないふりをしてきたもの(たぶんすごくイヤなことに決まっている!)に出合うなんて、怖すぎる。
でも、それが違うんです。
ちゃんと出合って、認めてあげると、平和的に共存できるようになるの。
本当に不思議で、素敵な感覚です。
というわけで、心理療法(セラピー)の世界には意識と無意識の間を安全に行き来できるためのツールがいろいろあります。
音楽療法とか、絵画療法とか、アロマテラピーとか、いろいろいろいろ
「箱庭」も、その一つです。
思いつくままに砂を寄せたり、広げたり、かき分けたりしながら、置きたい物を置きたいところに置いていくだけ
その中に「無意識」が投影され、言葉では表しがたかった気持ちが形になるのです。
解釈や分析はしなくてもよく、ただ「表現した」というだけで得も言われぬ開放感があったりします。
もちろん砂に触れ、その感触を楽しんで童心に帰るだけでも癒し効果があります。
2011.7.29