今週は、「家庭に届ける支援」のスタッフのための研修で講師を務めさせていただく機会が重なりました。
ひとつは以前から長いお付き合いの NPO 法人 バディチームの活動、もう一つは自治体が行う「こんにちは赤ちゃん事業」です。
どちらの参加者も大変熱心で、誠実に支援活動に携わろうとする心意気が伝わってきて、こちらも背筋が伸びる思いでした。
「こんにちは赤ちゃん事業」は、2007年に国の事業としてスタートした子育て支援策のひとつです。内容を厚生労働省のWebサイトから引用すると、こんな感じ。
(主な事業内容)生後4か月までの乳児がいるすべての家庭を訪問し、様々な不安や悩みを聞き、子育て支援に関する情報提供等を行うとともに、母子の心身の状況や養育環境等の把握及び助言を行い、支援が必要な家庭に対し適切なサービス提供につなげる。
これを受けて、全国の市区町村で取り組みが始まっています。
これまでにも「子育て支援センター」や「つどいの広場」といった支援の場を各地につくるなど、国はいろいろな支援策を打ち出してきました。自治体で面接や電話による育児相談を受けたり、保育園などで一時的に子どもを預かるなどの態勢も整ってきています。私もそうした地域の支援活動の現場に少しだけですが関わらせていただいています。それらもとても意義のある活動ですが、でも、いつもどこかでもどかしく思うのです。
一番支援を必要としている人、一番困っていて、一番支援を届けたい人に、その支援は届かない。
うまくいっていないからこそ、自信がないからこそ、誰にも見られたくなくて、とがめられるのが怖くて、そうした場に出てくることができない人、「助けて」と声をあげることができない人・・・
そういう人に、支援者はどうしたら出会えるのか。
赤ちゃんが生まれたすべての家庭に、人が出向いて支援を届ける「こんにちは赤ちゃん事業(生後4カ月までの全戸訪問)」は、いわば支援の押し売りですが、そうしたもどかしさを解決する手段になることは間違いありません。初めはいろいろな問題が起こってくると思いますが、工夫を重ねて、本当に困っている方々に支援の手が届く仕事に育てていってほしいと願っています。
「家庭に届ける支援」という点で、バディチームは先駆者です。
家庭の中に他人を入れるのは抵抗があって当たり前ですし、入っていく方にも緊張感があります。NPOが試行錯誤を繰り返して積み上げてきた経験が、全国に広がり、生かされていったら素敵です。
(2010年5月28日)