「友達と遊べない子」のその後

昨日、「育児相談練習帳」の制作にあたって、ずっとお付き合いくださった編集者からメールが届きました。三省堂神保町本店にこの本が展示されている写真を送ってくれたのです。こんな風に扱ってもらえるとは夢にも思っていなかったので、大感激でした。

育児相談練習帳が本になるまでには、本当にたくさんの方々のサポートがありました。授業で活発に意見を出してくれた学生達、その授業に興味を持たれ、講師として一般向けの研修をする機会を作ってくれたNPOの代表、手作りの授業プリントを書籍として出版するよう後押ししてくれた自治体の子育て支援課の方、ほかにもたくさんたくさんの方々のいろいろな応援に支えられて世に出ることができたこの本は、実に幸せ者です。

思い起こせば、私の子ども時代はいつも「ひとり」でした。友達の中に入るのが苦手で、外で楽しそうにはしゃぐ近所の子ども達の声を聞きながら、私は家で本を読んだり手芸をしたりしていました。学校でもグループに入れず、小学校の遠足の写真には、数人の先生方と一緒の敷物に座ってお弁当を食べている私が映っています。一人で食べていた私を先生が誘ってくれたようです。親戚の叔父さんには「春美ちゃんの声を聞いたことがない」と言われていました。そんな私が、今こうしてたくさんの人に支えられ、出版という夢を果たしました。

お子さんが友達と遊べなくても、どうぞ心配しないでくださいね。心配のあまり、やっきになって友達と遊ばせようとすると、「友達が苦手な自分はダメな子」と思わせてしまって悪循環の渦にはまりかねません。消極的な子、無口な子がいたってちっともかまわないですよね。以前看護学校の教師をしていたとき、おとなしい学生の受け持ち患者さんが「こんなふうに静かに接してくれるとホッとします。あんまり元気よく挨拶などされると、こちらのエネルギーが吸い取られてしまうような気分になる」とおっしゃったことがありました。いろんな人がいて、それでいいじゃないですか。そのままでOKと言ってもらえれば、自分を好きになれて、いつか気の合う仲間はできてくるものです。それが何十年も先だったとしても、そういう人生だってアリだよね。

編集者から送られた写真を見ながら、たくさんの仲間の顔を思い浮かべ、感無量です。

(2009年10月6日)